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法律で読み解く日本 Vol.1

「永住権」か「永住許可」か?行政法から見る日本の在留資格

執筆:行政書士 吉田 翔
「永住権」か「永住許可」か

少し前、日本で大きな話題になった議論があります。2026年5月19日、小野田紀美経済安全保障担当大臣が「我が国に永住権はありません。永住は権利ではなく、永住許可です」と述べました。では、法律上はどうなっているのでしょうか。私の考えをお伝えします。

「永住者」は在留資格の一つ

まず、「永住者」は日本の「在留資格」の一つです。では、在留資格とは何でしょうか。

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)は、外国人の日本での在留を、さまざまな在留資格によって管理しています。在留資格とは、国が法律に基づき、行政処分によって外国人に与える、日本で特定の活動を行い、または特定の身分を有する者として在留できる法的地位です。

行政法上の「許可」

行政法では、法律による一般的な禁止を特定の場合に解除し、適法に行えるようにする行政処分を「許可」といいます。

そのため、日本の法律に「永住権」という法律用語はなく、入管法第22条の「永住許可」という行政処分によって、「永住者」の在留資格が与えられます。

在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請することができる。

入管法第22条第1項

たとえるなら「運転免許」のようなものです。運転免許は合法的に車を運転できる資格ですが、飲酒運転などの重大な違反があれば取り消されることもあります。もちろん永住許可と運転免許は同じ制度ではなく、この例えは「許可」という行政法上の概念を理解するためのものです。

実は、台湾の外国人居留制度も同様の仕組みで運用されています。世界を見渡しても、外国人の管理制度には多くの共通点があります。

では、永住者に「永住する権利」はないのか

問題は、「権利」という言葉自体がとても抽象的であることだと思います。日常で使う「権利」と、法律で議論される「権利」は、必ずしも同じ概念ではありません。

台湾教育部の国語辞典は「権利」を「法律で定められた、人民が享受すべき利益」と説明しています。一方、日本の法学では、権利とは一般に、法に基づいて一定の利益を請求・主張し、それを享受できる法的地位を指します。

つまりこの議論の核心は、法制度そのものではなく、「権利」という言葉をそれぞれが異なるレベルで理解していることにあると考えます。法律の専門用語として捉える人は「永住許可」と呼ぶべきだと強調し、日常の言葉として捉える人は「永住権」と呼び慣れているのです。

まとめ

近年、日本では外国人制度をめぐる議論が活発になり、「永住権」という言葉もあらためて注目されています。しかし法律に立ち返れば、日本は一貫して「在留資格」制度によって外国人の在留を管理しており、その点は変わっていません。以上が私の見解です。

では、「在留資格」と「ビザ」は同じものなのでしょうか。次回に続きます。

法律で、日本を読み解く。

本記事は一般的な法律情報の紹介であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。具体的なご事情は個別にご相談ください。紛争・訴訟に関する事項は弁護士にご相談ください。

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